「不登校」と向き合うには?

TECTEC中田です!

私が子どもの頃、学校に来ないクラスメイトのことを「登校拒否」と呼んでいた記憶があります。
(今となっては配慮に欠けていたと思いますが…)

私より少し上の世代では「学校に行くことへの恐怖や不安を感じる」という意味で「学校恐怖症」と呼んでいたそうです。

1998年度から文部科学省が「不登校」という名称を正式に採用しました。

さて「不登校」の定義ですが、こちらも文部科学省の定義では

「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」

となっています。

30日間連続ではなく「年間で30日」というのは意外に厳しい印象です。
私も「気分が乗らないから、なんとなく学校を休む」ようなタイプだったので、もしかしたら病気や経済的な理由以外で30日以上休んだ学年があったかもしれません。

不登校は発達障害をはじめとするメンタルの特性や不調・疾患と関係していると思われがちですが、学校に行かなくなるまでには様々な背景があるため、一概に「これが原因」と決めつけがたいものがあります。

一般的に不登校のきっかけになるといわれているのは、

・いじめや友人関係のトラブル
・教師との関係性
・学習のつまずきや自己肯定感の低下
・不安定な家庭環境

などです。

逆に、幼少期の時点で発達特性に関する診断を受けていても、周囲がそれを理解し、クラスメイトや教師との関係性も良好であれば、毎日楽しく学校に通える可能性が高いといえるでしょう。

人間関係の不和が「クラスでの孤立」や「深刻ないじめ」に発展しないためには、教師と家族が連携して子どもの些細な変化を見逃さず、SOSのサインに気付くことが肝心です。

学習面においては

「みんなはできるのに自分だけできない」
「テストでいつも悪い点を取る」

などの経験が重なると「自分はだめだ」と感じ、学校に行く意味を見失うケースがあります。

ですが、学習の理解が遅い子どもに対しても、個々の性格・得手不得手に配慮した教え方の工夫を施すことによって解決への道が拓けてきます。

また、学校に行かない子どもを家族が無理に引っ張って連れて行ったり、強く叱責するのは

「不登校の原因が残っているままで学校に通わせる」

わけですから、学校への恐怖や不信感、勉強嫌いをますます加速させてしまう結果に。

よく「不登校は甘え」という意見がありますが、仮に最初のうちは「なんか面倒くさい」といった軽い気持ちで休んだとしても、学校に行かないのを周囲が「悪いこと」と決めつけて子どもを追い詰め続けると、本格的なメンタルの不調をもたらしかねません。

不登校からの回復は「学校に戻ること」だけがゴールではなく、まずは「自分は大切にされている」と実感できる環境を整えることが最優先です。

学校に行きたくない子どもの気持ちに寄り添い、学校との向き合い方を少しずつ変えていくには、以下のような方法があります。

  1. 否定せずに「気持ちを受け止める」
    「なんで学校行かないの?」「甘えてるだけでしょ」といった否定は、子どもをさらに追い詰めます。まずは「学校に行けないほどつらいんだね」と、気持ちに寄り添いましょう。
  2. 家の中を「安全基地」にする
    子どもが安心して過ごせる空間が、再び社会とつながる第一歩になります。生活リズムや食事、適度な運動など、基本的な生活習慣を整えるサポートも有効です。
  3. 第三者の専門機関を活用する
    スクールカウンセラーやフリースクール、教育支援センター(適応指導教室)など、公的・民間の支援機関に相談することで、家庭だけでは難しい対応も可能になります。
  4. 学校以外の「居場所」を見つける
    学びの場や友人関係は、学校に限られません。オンライン学習、地域活動、ボランティアなど、自分らしくいられる場所を一緒に探しましょう。

不登校が長期化し、社会との接点を持たないまま思春期・青年期を迎えた場合「若年無業者」や「引きこもり」になる可能性もあります。

内閣府のデータによると、15~39歳の引きこもりは約54万人にのぼり、その中には中学・高校時代から不登校を経験していた人も多く含まれています。
(※平成27年度内閣府「生活状況に関する調査」推計)

学校で傷つき、居場所を失った子どもが一日中自宅で過ごすようになると生活リズムが乱れ、精神的にも不安定な状態に。

時間が経つにつれ、他者との関係性を築く自信をなくし、さらに社会との断絶が進むこともあります。

ただし引きこもりにも程度や段階があり、たとえばネット上で他者と健全なコミュニケーションをとっていたり、家族との仲がよく、ときには一緒に外出もしたりする場合は、ずっと家にいるからといって必ずしも社会に適合できていないわけではありません。

生活様式が多様化している現代においては

「学校に行かなくても、人として価値がある。」

この考え方を前提に、子どもと対話し続け、心を通わせていくことが肝心です。

※本文中のデータ・最新情報などは以下のサイトを参考にさせていただきました。

<内閣府>

第15回総会 資料3-1

「ひきこもり」の定義など

<厚生労働省>

「ひきこもりや不登校」というサイン

<ふせき診療クリニック>

不登校

<スダチ>

不登校とひきこもりは何が違う?ひきこもる原因3つと親が出来る対策5つ

<大阪メンタルクリニック>

不登校・引きこもり

<Peachy>

増加中の“不登校児”への適切な治療とは?発達障害の子を持つ専門医が治療法について問題提起