TECTEC中田です!
以前、2024年6月度のコラムにて「法定雇用率」に関する基礎知識を解説させていただきました。
<一般就労を目指す人のためのミニコラム「法定雇用率ってどうやって決めているの?」>
法定雇用率とは「企業や公共団体が一定割合以上の身体・知的・精神障害者を雇用することを義務付ける制度」となっています。
さて、2026年7月1日より、この法定雇用率が
・民間企業…2.5%から2.7%
・国・地方公共団体・特殊法人…2.8%から3.0%
・都道府県等の教育委員会…2.7%から2.9%
へとそれぞれ引き上げられることになりました。
これによって、民間企業においては現在「従業員40人以上の企業に1人」障害者を雇うルールであるのが「従業員37.5人以上の企業に1人」雇わねばならないルールに変更されます。
その一方、現時点でも法定雇用率を満たせていない企業が過半数を占めていると言われており、法定雇用率が徐々に引き上げられていく状況とは裏腹に「障害者を人材としてどのように活用すれば良いのか分からない」のが企業現場の課題となっているようです。
株式会社ハンモック(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:若山 大典、証券コード:173A)では2026年2月5日、特例子会社設立、障がい者雇用を行っているもしくは検討中の487名を対象に「業務運営の現状と課題に関する実態調査」を実施しました。
※引用リンクは本記事末尾に記載
アンケートによると、
「現在、あなたの会社では障がい者法定雇用率を何%満たしていますか?」という質問には
・2.7%以上…18.3%
・2.5%以上…29.4%
・2.5%未満…16.2%
・法定雇用の対象外である…2.5%
・分からない…33.7%
という結果が出ました。
「分からない」と答えた企業が実際に障害者をどの程度雇用しているのかによって全体の法定雇用率達成状況は変わってくると思われますが、引き続き積極的な障害者雇用の実現が求められていることは確かです。
注目したいのは「障がい者雇用や特例子会社の運営にどのような課題を感じていますか?(複数回答可)」の項目です。
・適性・能力に合った業務配置…49.5%
・受け入れ部署・社員の理解…41.1%
・業務の切り出し…35.3%
となっています。
これら上位3つの回答については
「適性に合った業務配置をするためには受け入れ部署側の理解が必要」
「配置された部署での継続的な業務の切り出しができるかどうか」
といったように、それぞれの課題が相互に連動しているといえるでしょう。
さらに「障がい者雇用社員に日常的に業務を渡すことについて、どのように感じていますか?」に対しては
・非常に難しい…が16.4%
・やや難しい…46.0%
という結果に。
引用元のサイトではこのデータを受けて「合わせて6割超が業務受け渡しに一定の難しさを感じている」と分析しています。
法定雇用率を達成している企業もそうでない企業も「障害者が担当する業務」をいかに安定して生み出せるかが、今後の障害者雇用における課題解決の鍵となりそうです。

【障害者雇用で「業務の切り出し」を円滑に実現するには?】
多くの企業は、障害者雇用によって採用した障害のある方々に対して「障害者雇用といえども、自社の収益業務に貢献してほしい」という気持ちがあるはずです。
そのためにも、個々の特性や職能をしっかりと把握し、適切な部署に配属して業務を任せる必要があります。
業務の切り出しまでの流れは
1.採用した障害者へのアセスメント(聞き取り調査)によって業務適性を判断する
2.配属部署を決定し、配属先の従業員に事前の情報提供を行う
3.配属先の従業員が主導的に「切り出し可能な業務内容」を提案する
4.業務マニュアルを作成し、早い段階で業務に慣れるようにサポートする
5.企業の経営状況などに応じて柔軟に切り出す業務の内容を変更し、障害者本人の担当業務が途切れないようにする
という手順を段階的に進めていくことが望ましく、この5つのステップを円滑に遂行することで働く障害者と企業側のミスマッチを防ぎ、仕事のモチベーションを持続させることが可能です。
また、業務の切り出しには既存の業務だけではなく
「障害者の特性を活かした業務を創出する取り組み」
も近年では重要視されています。
工場であれば精密機械の加工、オフィスワークであれば大量データの整合性チェックなど、一般的にも難易度が高いとされるような細かい業務を発達特性のある従業員に担当してもらったところ、生産性が向上したという例があるそうです。
本来、他の従業員ではできなかった業務が「この人なら任せられる」ということが判明すれば、営業活動によって新しい業務を獲得できる可能性もあります。
障害者雇用での人材活用を実現している企業の成功例を見ると「障害者に配慮した、負担のない業務」を与えるという固定観念から「障害者にしかできない業務を新規プロジェクトとして担当してもらう」発想へとシフトしつつあるようです。

今回の記事では企業・事業所向けに、障害者雇用の「業務の切り出し」に関する現状および課題解決のポイントを解説いたしました。
社会情勢を踏まえると、法定雇用率は今後も上昇していくことが予想されています。
これを受けて、厚生労働省では障害者自身の権利の拡充のみならず、企業側に対しても「障害者雇用のための事業主支援の強化」に取り組んでいく旨を発表しました。
障害者雇用に関する相談援助などを行う「障害者雇用相談援助事業」や、加齢により職場への適応が難しくなった障害者の職務転換を支援する助成金の新設などがこれに該当します。
働く意欲のある障害者が自身の能力を最大限に活用して社会的自立を図り、企業の一員として活躍できるよう、障害者雇用の制度がより整備されていくことを期待したいと思います。
※本文中のデータ・最新情報などは以下のサイトを参考にさせていただきました。
<厚生労働省>
<PR TIMES>
<HRpro>
【障がい者雇用】半数の企業が「法定雇用率」満たせず、いまだ課題は山積か。受入先は管理部門が最多も“業務の切り出し”が難航
<日本財団ジャーナル>
なぜ日本では「障害者雇用」が進まないのか? 障害者と働くことで職場環境がより良くなる理由とは?
<サポネット>
【専門家インタビュー】 障がい者雇用で必要な業務の切り出しや注意点とは?
<朝日新聞提供プレスリリース>
【特例子会社設立、障がい者雇用における実態調査 】日常的な業務受け渡しについて 約6割が「難しい」と回答
https://hmk.web-tools.biz/glue/download/media_hot_disability_employment/