HSP

「繊細」も「個性」。/HSPとの向き合い方

TECTEC中田です!

みんなが何気なく過ごしている場面で、自分だけ周囲の声が必要以上に騒がしく感じたり、微かな匂いが我慢できなかったりといったことはありませんか?
また、小さなホコリやちょっとした部屋の汚れが気になって作業に集中できないケースも。

自分にとっては我慢できないレベルであったとしても、他の人達が平然としている以上、なかなか相談できないのが辛いですよね。

そのほか、テレビや映画を観ていて、他の人が「少し涙をこぼす」シーンで自分だけ息苦しくなるほど大号泣してしまったなど、極端に感情が揺れ動いてしまう人がいます。

このような、外部からの刺激や環境の変化に人一倍敏感で、感受性が非常に強い人のことを

「HSP」(Highly Sensitive Person…ハイリー・センシティブ・パーソン)

と呼びます。

HSPの人を「繊細さん」と名付けた書籍がヒットしたため、「繊細さん」という言葉が一時期SNSなどでブームとなりました。

元々はアメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン氏が1996年に提唱した性格特性です。

アーロン氏の説では全人口の15~20%にHSPの傾向があるとのこと。
説が正しければ5~6人に1人はHSPの傾向を持っていることになりますので、決して珍しい特性ではありません。

HSPには「DOES(ダズ)」と呼ばれる4つの特徴があり、

<Depth of processing(深い思考)>
・表面上の情報ですぐに判断せず、奥深くまで掘り下げて考える
・ひとつのことを聞いて、そこから様々な想像を広げる

<Overstimulation(刺激への敏感さ)>
・大きな音や人の多い場所などが苦手
・ささいなことで他人より何倍も感動したりショックを受けたりする
・他人のちょっとした言葉に傷ついたり、過剰に反応する

<Empathy and emotional responsiveness(共感力)>
・映画やドラマに感情移入しすぎて、登場人物が感じた悲しみや怒りを自分のことのように感じてしまう
・他人が攻撃されたり恥ずかしい思いをすると、自分まで嫌な気分になる
・相手のふとした表情や声のトーンで本心が分かってしまう

<Sensitivity to subtleties(感覚の鋭さ)>
・何かの動作音や他人の体臭、タバコの匂いなどが極端に気になる
・眩しい光や温度の変化を敏感に察知する
・少しでも刺激の強い食べ物やカフェイン、特定の肌触りがするものなどが苦手

などの傾向が顕著です。

大きな怒鳴り声は誰もが「好きではない」ですし、匂いにクセのある食べ物やチクチクした布地の服なども苦手な人は多いと思いますが「気分が悪くなって寝込んだり、吐いたりするほど苦痛」という状態にまでなってしまうのであれば、HSPの傾向が強いといえるでしょう。

単純に感覚過敏の人をHSPと呼ぶイメージがありますが「友達と遊んでいても極端に気を遣ってしまい、人一倍疲労がたまる」「適当なことを言うのが自分の中で許せないため、何かを聞かれた時に返事がとても遅くなってしまう」といった、人間関係における繊細さもHSPの一種です。

HSPそれ自体はメンタルの疾患ではないものの、たとえば職場の労働環境が不衛生で悪臭が酷かったり、大声でミスを注意されるたびに頭が痛くなったりする状態がずっと続くと、うつ病などを発症してまう可能性が高まります。
メンタルの安定を保つためにはできる仕事が多少制限されてしまう、という生きづらさがあるかもしれません。

HSPはあくまでも「性格」「気質」のため、克服するというよりは「何が苦手で、何が大丈夫か」を自分でしっかりと把握し、周囲の人に分かりやすく伝え、配慮してもらうことが必要です。

他人と同じものを見たり同じ体験をしても、何倍もの喜びや悲しみを感じてしまうのはHSPのメリットであるともいわれています。
普通の人では思いつくことのできない、新しいアイディアをその体験から生み出すことができるからです。

自分だけが味わっている激しい感情や強い刺激を、体調を崩さない程度に「創造の糧」として活用することができれば、クリエイティブな職業で成功する道も拓けてきます。

タイトルに「繊細は個性」と書いた通り、繊細な自分と向き合い、繊細だからこそ見えてくるオリジナルの世界を表現するところから始めてみてはいかがでしょうか。

そのほか「深い思考能力」を常に発揮していることから、情報処理能力に優れているHSPの方も大勢います。
経理・プログラマー・執筆業などで才能を開花させるケースも目立つようです。

自分の適性をよく理解し、なるべく心に負担をかけず充実した生活環境や就労を実現できれば理想ですね。

※本文中のデータ・最新情報などは以下のサイトを参考にさせていただきました。

<人事の図書館>

【自己診断】HSPとは?特徴や長所の活かし方、上手な付き合い方

<大坂メンタルクリニック梅田院>

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは

<マドレクリニック>

HPS(Highly Sensitive Person)ハイリー・センシティブ・パーソン

<サワイ健康推進課>

心が疲れやすくて生きづらい…それは「HSP」かもしれません