フリーペーパー

無料で学ぶプロのデザイン!フリーペーパーを読んでみよう

TECTEC中田です!

早いもので今年も残りわずかとなりましたが、年末年始はどのように過ごされますか?

「まとまった休みを利用してじっくりとデザインの勉強をしたい!」という方もいるはず。

ところで私は無料で読める雑誌、いわゆる「フリーペーパー」を集めるのが趣味です。

このフリーペーパーというのは無料で配布されているにもかかわらず、なかにはかなりデザインが凝っているものもあり、調べてみると実際にプロのクリエイターや美大の学生などが表紙・装丁・レイアウトほか全体のデザインを手掛けていたりします。

普通の雑誌では取り上げないような尖ったジャンルを深掘りしているため、特定の人にとっては非常に興味深い内容であるだけでなく、プロの実践的なデザイン術をお金をかけずに学べるというメリットも。

特に出版・広告関係の会社でデザインの仕事に就きたい方であれば、フリーペーパーを積極的に読んでみることをおすすめします。

というわけで今回は、私が個人的に紹介したい、マニアックなフリーペーパーをいくつかピックアップしました。

こんなオシャレなデザインのフリーペーパーもあるんだ!という「フリーペーパーの自由さと奥深さ」が皆さんに伝わればと思います。

<フリースタイルな僧侶たち>

宗派を超えたお坊さんが集まって創刊された、今の時代における仏教の役割を問うフリーペーパーです。

いかにもフリーペーパーといった感じのニッチなジャンルですが、フリーペーパーマニアの間では比較的有名。

シンプルな表紙とは対照的に、内容はボリューミーでレイアウトも洗練されています。

僧侶へのインタビューや、宗教イベントの現地レポートなど読みごたえ十分です。

<月刊 降りない駅>

「普段降りることはないけど、いつも車窓から見るあの街。降りてみたらどんなお店があるんだろう…」

電車に乗る人なら誰もが抱くあの感情を行動に移し「降りない駅で実際に降りて、その魅力を紹介する」という、まさにフリーペーパーでしか表現できないコンセプト。

ともに大阪府堺市出身で、現在は三鷹市在住のイラストレーターと小説家の2人が手がけています。

一見、誰に需要があるのか…と思いきや、その街に住んでいた人達からは「懐かしい」と好評で、在庫の取り置きを頼むファンがいるほど根強い人気があるようです。

<凸凹といろ。>

「大人の発達障害」がテーマのフリーペーパーです。

発起人をはじめ、制作に携わっている方全員が発達障害の当事者であり、内容も発達障害当事者のコラムやインタビューが中心となっています。

そのほか、就労支援系福祉サービスの職員や精神科医など専門家による記事も掲載されており、信頼性の高い情報が満載です。

大阪府内のメンタルクリニックなどにも置いているそうですので、表紙を見たことがある方もいるのではないでしょうか。

<otto(オットー)>

「秋田に暮らす、大人の嗜みブックレット」がコンセプトの、秋田県内の飲食店・観光スポット・地域密着型の企業などを紹介するフリーペーパー。

ABS(秋田放送)が発行しており、秋田市内では全戸に無料配布され、発行部数は14万部を誇ります。

スナックや酒場など大人向けのお店の宣伝がメインですが、秋田の地理に詳しくなれる散歩企画なども。

広告ページを含め整然としたレイアウトは読みやすさと訴求力を兼ね備えており、雑誌デザインの勉強にはぴったりです。

<PENGUIN POST>

日本で唯一の「ペンギン」をテーマにしたフリーペーパーで、2024年秋に第2号が刊行されたばかりです。

この号の特集は「ペンギンの高齢化問題」で、実際に水族館で働いている飼育員さんに取材して記事にするという、無料とは思えない気合いの入れよう。

ちなみにペンギンの寿命ですが、施設下で丁寧に飼育すれば20年以上生きる場合もあるそうですよ。

「大手の出版社が手を出さないジャンル」「競合がいないジャンル」にあえて踏み込み、発行者の趣味を前面に押し出すことができるというのもフリーペーパーの醍醐味ではないでしょうか。

<ゆうえんちdays>

「遊園地は大人になってからがおもしろい!」をコンセプトに活動中の遊園地だいすきユニット「369days」(みるくでいず)が手がけるフリーペーパー。

手のひらとほぼ変わらない超ミニサイズで、表紙・裏表紙・見開きのみの4ページというコンパクトな構成です。

ユニットのメンバーであるmikkoさんは大学で遊園地を研究し、屋上遊園地のスタッフも経験したことがあるという筋金入りの遊園地好き。

フリーペーパーというのは内容だけでなく、このようにサイズそのものも自由に設定できるところに無限の可能性があるといえます。

試しに「otto」「PENGUIN POST」「ゆうえんちdays」の3冊を並べてみました。

どうでしょうか?このバラバラなサイズ感にそれぞれの個性が出ていると思います。

特にミニサイズのフリーペーパーは「頑張れば自分でも作れるかも…」という気になりますよね。

しかしながら見出しの位置、フォントのチョイス、写真に乗せる文字の配色など、細かい部分ではやはりプロの技が随所に発揮されています。

普段気にも留めないフリーペーパーにも、様々な学びのヒントが隠されていることがお分かりいただけたでしょうか。

以上、今回は珍しいフリーペーパーの紹介でした。

プロのデザインを参考にしながらクリエイターになるための腕を磨きつつ、充実した年末年始をお過ごしください。