「承認欲求」が強いのは駄目なこと?

TECTEC中田です!

SNSで「いいね!」をたくさんもらいたい、フォロワーをもっと増やしたい…。

そんな気持ちを抱いたことはありませんか?

周囲から注目を浴びたいというのは「承認欲求」の一種です。

最近では、SNSを通じて承認欲求を満たそうとする人が増えていると言われています。

「『いいね』欲しさにSNS映えする料理を撮影し、肝心の料理をほとんど残すといったマナー違反が問題になっていますが、これも承認欲求があるからこそ起こる問題といえるでしょう。」

承認欲求が強すぎると他人の目ばかりを気にしてしまい、本当に自分のやりたいことや将来のビジョンを見失ってしまうことも。

一方で、承認欲求がまったくないと、社会との関わりが希薄になってしまうかもしれません。

果たして、承認欲求が強いのは良くないことなのでしょうか?
今回の記事では、現代はもちろん、以前から存在していた概念である承認欲求の適切なバランスについて考えてみます。

<「承認欲求」とは>

承認欲求とは、自分が「価値のある人間」だと他者から認められたい、他者から賞賛されることで存在意義を感じたい欲求のことを指します。

こうした感情は決して珍しいものではなく、むしろ誰もが持っているものです。

冒頭で述べた『SNSで注目されたい』という例に限りません。

レベルの高い学校に進学して両親から褒められたい、会社の上司に認められるために仕事を頑張りたい、なども承認欲求に含まれます。

SNSがなかった時代には、会社員が酒場などで酔いながら「自分はこんな大企業で働いている」と大声で自慢する光景をよく見かけましたが、それも周囲の人から「すごい」と思われたい気持ちのあらわれでしょう。

適度な承認欲求は、何かを頑張るためのモチベーションとして必要な場合もあります。

ただし、承認欲求の強すぎる人はとにかく「自分だけが注目されればいい」という考えが強く出すぎてしまうため、周囲から避けられてしまいがち。

ネットでは「承認欲求モンスター」などという表現もあるほどで、承認欲求という言葉のイメージは一般的にあまり良くないものといえます。

<「マズローの欲求5段階説」とは?>

1950年代から60年代にかけて活躍したアメリカの心理学者であるアブラハム・マズローが提唱した理論に「欲求5段階説」があります。

これは人間の欲求を5つの階層に分けて説明するものです。

下の階層から順番に

・生理的欲求…ご飯を食べたい、眠たいから寝たいなど、人間の本能や生存に直接かかわる欲求

・安全欲求…住居の確保、雇用の安定、健康の維持など、人間らしい最低限の生活をしたい、そのような環境に身をおきたいと思う欲求

・社会的欲求…友達がほしい、愛情がほしい、孤独になるのを避けたい、何かの団体や組織に所属して仲間を増やしたいと思う欲求

・承認欲求…今回の記事のテーマである「他者から認められたい」欲求

・自己実現欲求…自分自身の理想を追求したい、自分自身のなかで掲げる目標を達成したい、自分自身が満足する作品を作ったり仕事を成し遂げたいと思う欲求

となっています。

人間は生きるために必要なものが満たされるにつれて「本能的な欲求」から「社会生活を充実させる欲求」になり、最終的には「自分自身を磨いて理想に近づく欲求」に辿り着く…というのがマズローの理論です。

ちなみに「ボランティア活動で社会を良くしたい」「自分の財産を貧しい人に分け与えたい」といった、自分以外の人間を助けたいと思う欲求も自己実現欲求に含まれます。

ただしSNSが発達した現在では、ボランティアや慈善事業が「募金したことを投稿して『いいね!』をもらいたい」「高い金額を寄付してニュースになりたい」などの自己承認欲求につながる場合もあるので、難しいところです。

<承認欲求は強すぎても弱すぎても良くない?>

最初にも少し述べた通り、承認欲求が強すぎると

・他人の評価を気にしすぎる

・SNSの「いいね!」がないと不安になる

・無理をしてでも目立とうとする

などの傾向が顕著になります。

SNSで「いいね!」をもらうために有名人の悪口など過激な投稿をする、YouTubeで迷惑行為をして再生回数を増やそうとする人が後を絶たないのもそのせいです。

このような言動は最悪の場合 法に触れかねませんので、皆さんは絶対に真似をしてはいけません。

しかしながら承認欲求が弱すぎると、社会とのつながりを持つことに無関心になり、孤立してしまうというデメリットもあります。

たとえばデザインなどクリエイティブな分野で一般就労を目指している場合、自分のなかで「これは最高傑作だ」と思える作品が完成して「自己実現欲求」が満たされても、実際に企業で採用されるためには企業の採用担当者や面接官が「あなたの作品は良いですね」と認めてくれなくてはいけません。

また、フリーランスで絵を描く職業の人がいたとして、やはり「この人の絵は素晴らしい」と気に入って購入してくれるファンがいなければ生活は成り立ちません。

ほとんどの人間はその人生において、結果的に「他者からの承認」が必要になる場面がたびたび訪れるのです。

自分の能力が認められ、収入を得ることで自分の存在価値を実感し、生きがいや自己成長にもつながっていくといえるでしょう。

承認欲求は強すぎても問題がありますが、全く承認欲求がないと集団社会のなかでの自分自身の行動が独りよがりになってしまう場合があります。

大切なのは「承認欲求に振り回されすぎないこと」です。

SNSの評価や他者の反応に過度に依存するのではなく、自分の軸を持ち、バランスをとることが重要です。

適度な承認欲求を持ちながら、自分らしく生きることを意識してみましょう。

※本文中のデータ・最新情報などは以下のサイトを参考にさせていただきました。

<リデライズジャパン>

「マズローの欲求5段階説」とは?内容やビジネスへの活用例も

<フリーコンサルタント.jp>

マズローの欲求5段階説とは?ビジネスでの活用方法について詳しく紹介

<ビジネスリサーチラボ>

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