怒られたくない、拒否されたくない…「RSD」の悩み

TECTEC中田です!

私もそうなのですが、発達障害、特にADHDを抱えている人は健常者よりも

「外的要因で感情が激しく揺さぶられやすい」

という傾向があります。

簡単にいえば、他人から何かを言われたり、何かをされたりしたとき、通常の何十倍も心に刺さってしまうということです。

ですので、ささいなことで怒られてもひどく傷つきますし、何かをお願いして断られると自分の存在全てが否定されたような気持ちになってしまいます。

(もちろん、嬉しいことがあったときも人一倍テンションが上がりやすいのですが…)

このように、誰かから拒絶されたり、間違いを注意されたりすることを極端に恐れる特性を

RSD(拒絶感受性ディスフォリア)

と呼びます。

RSDは決して新しい言葉ではないのですが、つい最近(去年あたりから)、発達障害啓発系のYouTuberやインフルエンサーなどが紹介した影響で急速に広まっていきました。

一説には、ADHD当事者の9割以上がRSDの持ち主であると言われています。

「RSDなので人から嫌なことを言われるのが怖い…」という悩みに対して

「そんなの誰だって怒られたら落ち込むし、頼み事を拒否されたら不愉快になるし、当たり前のことでは?」

と気軽にアドバイスする人が多いのですが、本人にとってはかなり深刻な問題です。

たとえば、授業中にイタズラをするなど、悪いことをして先生から注意されたら誰でも多少は萎縮してしまいますよね。

しかしRSDの人は極端な話、病院の待合室でソファに座っていて、後から来た人に「ちょっと詰めてもらえますか」と言われただけでも

「なんで詰めないんだよ!常識だろ!空気読めよ!」

と怒鳴られたように感じてしまいます。

(私自身、この程度のレベルの注意でも、脳内で上のセリフのように変換されて聞こえるのです)

また、頼み事を拒否される件に関しても

「プロポーズしたけど、フラれた」

というレベルの話ではなく

「荷物を持ってあげようとしたら『大丈夫です』と言われた」

「16時に待ち合わせしようと言ったら『16時半でもいい?』と言われた」

くらいの日常的な出来事ですら、

「あ、自分の提案が全否定されたんだ…ということは自分自身に生きている価値がないんだ…」

と拡大解釈してしまうのが、RSDならではの生きづらさなのです。

ADHDの人にRSDが多い理由は、やはり他の人とものの考え方が違うがゆえに、自分の発言や意見、行動を否定されたり怒られたりする機会が健常者より多いため、経験の蓄積によって

「どうせ自分のやることなすこと全て、誰からも認められない」

という思い込みが出来上がってしまうからではないかといわれています。

一般の子供に比べて、ADHDの子供は周囲から「どうしてこんなこともできないの?」「君とは関わりたくないんだよね」といったネガティブな言葉を浴びせられて育ちやすいのも、この傾向に拍車をかけているようです。

結果、RSDの特性が強い状態で社会に出ると

「自分一人でできない仕事でも、誰かに頼みにくい(断られたら傷つくから)」

「怒られるのがあまりにも嫌で、失敗を隠そうとする」

などの困りごとが次々に生じてくるのです。

RSDによる「怒られること・拒否されることへの不安」が増大していくと、自己肯定感が下がるだけでなく、人間不信に陥りやすくなり、うつ病などの二次障害にも繋がりかねません。

現代の精神医学においてRSDは「病気」ではなくあくまでも「特性」のひとつですので、直接的にRSDを治す方法があるわけではないのが難しいところです。

「不安を和らげる薬を処方してもらう」「カウンセリングによって感情をコントロールする訓練を続ける」「周囲の人達からの理解を得る」などの対処法を行い、ある程度は克服できるとされています。

最も大切なことは、冒頭で例として挙げた「席を詰めてください」や「荷物を持ってもらわなくて大丈夫です」といった相手からの提案を「自分を否定している」と決めつけないことではないでしょうか。

RSDの人が何か失敗や悪いことをした際に注意・指導する側の人達も、決して感情的に声を荒げることなく、最大限の配慮を心がけたうえで話し合うことが必要です。

お互いの歩み寄りが、より良好なコミュニケーションを成立させるわけですね!

※本文中のデータ・最新情報などは以下のサイトを参考にさせていただきました。

<CONNECT(こねくと)>

RSDとは何か?ADHDとの関連性はあるの?特徴、原因、対処法を詳しく解説します

<板橋のこども支援・ハートライン東京クリニック>

ADHDに必要な自己肯定感

<お話しタイムの鈴木さん>

ADHDの9割が悩んでると噂の”RSD”って何?