TECTEC中田です!
発達障害のある方や、そのご家族・支援者の方から、よくこんな悩みを聞きます。
「ミスの理由を説明しただけなのに『言い訳するな』と言われた」
「どうして失敗したのか説明しているつもりなのに、反省していないと思われる」
「本人は必死に説明しているのに、周囲がイライラしてしまう」
発達障害のある方は、しばしば「言い訳が多い」と誤解されやすい傾向があるようです。
ただ、ここで大切なのは
「ミスや失敗をした側だけが悪いわけではない」
という点です。
一方、指導する側においても「ミスを繰り返す人は『仕方ない』と割り切るのが正解」というわけではありません。
職場やチームで作業をする際に大切なのは、なぜそのミスが起きたのか原因を冷静に分析し、再発を防ぐための工夫を考えることです。
今回は「なぜ発達障害の人は『言い訳が多い』と思われやすいのか?」について、双方の視点から整理してみたいと思います。

<そもそも本人は「言い訳」のつもりではないことが多い>
発達障害、特にADHDやASDの方の中には
「なぜそうなったのか」
「どこでつまずいたのか」
「自分の中ではどういう流れだったのか」
を、かなり細かく説明しようとする人が少なくありません。
ですが一般的なコミュニケーションでは、
◆ミスをした→理由を長く説明する
という流れになると、
「反省より先に自己防衛している」
「責任逃れをしている」
と受け取られやすいことがあります。
しかし本人側としては、
◆「責任逃れ」ではなく「状況説明」をしているつもり
であるケースも多いのです。
<「また怒られるかもしれない」が強く残っている>
発達障害のある方の中には、過去に仕事や学校、家庭などでミスをして
「なんでこんなことしたの!?」
「ちゃんと考えれば分かるでしょ!」
「何回言えば分かるんだ!」
と強く怒られた経験を繰り返している人も少なくありません。
すると「もう二度とあんな風に怒られたくない」
という気持ちが非常に強くなります。
その結果、
「いや、今回はこういう事情があって…」
「途中までは覚えていたんです」
「別のことに気を取られて…」
と、必死に説明しようとすることがあります。
本人としては「防御」というより「自分がサボったわけではない」「悪意があったわけではない」ことを理解してほしい感覚に近いのかもしれません。
指導する側にとっては怒鳴ったり追い詰めたりするつもりが一切なくても、ミスをしたほうにそのような過去の記憶が残っているため、すれ違いが生まれてしまいます。
何かトラブルが起きた場合の対処の手順をマニュアル化し、共有しておくことで、ミスがあっても報告しやすくするといった雰囲気づくりが必要です。

<そもそも「なぜミスしたのか」が分からないこともある>
発達障害の特性では
・注意が別の方向へそれる
・頭の中で情報が抜け落ちる
・複数作業で混乱する
・ワーキングメモリがパンクする
などによって「本人にも理由が説明できないミス」が起こることがあります。
例えば
「ちゃんと確認しようと思っていたのに忘れた」
「気づいたら別の作業をしていた」
「なぜ抜けたのか自分でも分からない」
というケースです。
ですが周囲からすると「理由を説明してほしい」「なんでそんなことになったの?」と感じるのも無理はありません。
すると本人も混乱し「自分は悪くないはずだ」「何か理由を説明しなきゃ」という気持ちから、相手が求める答えとズレた説明をしてしまうことがあります。
これが周囲から見ると「言い訳ばかりしている」ように見えてしまうのです。
<「説明」と「反省」がうまく同時進行できないことも>
マルチタスクが苦手な傾向のある方では特に
◆「事実を説明すること」と「相手の感情に配慮すること」
を同時に行うのが難しい場合があります。
そのため本人は「原因を説明しているだけ」のつもりでも、相手側は
「まず謝ってほしい」
「気持ちを分かってほしい」
と感じることがあります。
一方で、発達障害当事者のほうも
「ちゃんと説明しているのに、なんで怒られるの?」
「誤解を解きたいだけなのに…」
と混乱しがち。
つまり、
発達障害者側:
「誤解されたくないから説明している」
周囲側:
「反省より自己防衛を優先しているように見える」
という「認識のズレ」が起きやすいのです。

<大切なのは「原因の追求」ではなく「対策づくり」>
もちろん「何でも障害のせいにする」「改善努力をしない」という状態は望ましくありません。
ですが逆に「ミスをしたことの説明=全部言い訳」と切り捨ててしまうと、本人はさらに萎縮しやすくなります。
大切なのは「二度と同じことをするな」という叱責だけで終わらせるのではなく、
・なぜ起きたのか
・次にどう防ぐか
を、一緒に考えることです。
発達障害の人がミスをしたときは、本人だけの問題として捉えるのではなく
・周囲と一緒に理由を整理する
・ミスが起きやすい環境を見直す
・具体的な対策を考える
ことが重要だと言われています。
・チェックリストを使う
・口頭指示だけにしない
・作業を細分化する
・確認タイミングを固定する
など「精神論だけではない工夫」によって改善するケースも少なくありません。
「誤解を解こうとして空回りしやすい」当事者の生きづらさに寄り添い、ミスが起きにくい仕組みづくり・伝え方や確認方法の工夫を意識したうえで
「本人と周囲が一緒に再発防止を考える」
という視点に立って対策を練っていくことが、より良い支援や人間関係につながっていくのではないでしょうか。
※本文中のデータ・最新情報などは以下のサイトを参考にさせていただきました。
<ディーキャリア>
大人のADHDは「反省していない」「ミスを繰り返す」と思われがち、誤解されない方法3選
<とこらくのブログ>
ADHDの子が言い訳多いのはなぜ?叱る前に試したい効果的な親の声かけ5選【心理+実例つき】
<障害者.com>
<パステル総研>
<株式会社FVP>