TECTEC中田です!
「見えない生きづらさ」を周囲に伝えるための大切なツールが「ヘルプマーク」です。
当事業所にも、ヘルプマークをカバンやリュックにつけて、常時携帯している人がいます。
一方で「何らかの病気があると思われることに抵抗がある」などの理由で、ヘルプマークをつけない人もいます。
初対面の人にも「配慮を必要としている」ことが伝わりやすい反面、一部では「障がいを過剰にアピールしている」といった意見も。
ヘルプマークは障がいを持っている人が安心して日常生活を送るための拠り所でもあります。
決してヘルプマークがデメリットになったり批判の対象とならないように、社会に広く啓発していく必要があるでしょう。
今回はそのような意味も込めて、皆さんにヘルプマークの歴史や役割、取得方法などを改めて紹介したいと思います。

ヘルプマークは「外見からはわからない援助や配慮を必要としている方々」のサポート用に作成された、赤地に白抜きの十字とハートが描かれているマークです。
ヘルプマークをつけることで、周囲の人からの援助や配慮が得やすくなることを主な目的としています。
メンタル系の疾患がある人のためのマークと思われがちですが、義足や人工関節、内部障がい、難病など「外見では分かりにくい困難」を抱える人全般が対象で、妊娠初期の女性も含まれます。
ヘルプマークの歴史は比較的新しく、一人の東京都議会議員が発案したことがきっかけで、東京都福祉保健局が2012(平成24)年に作成。
同年10月、都営地下鉄大江戸線にて日本初となるヘルプマークの配布および優先席へのステッカー標示が開始されました。
当初は東京都独自の取り組みでしたが、徐々に民間企業や全国の自治体にも広がり、2017(平成29)年には日本工業標準(JIS)を取得しています。
現在ではカバンなどにつけるストラップタイプのヘルプマークが主流です。

<どのような配慮が必要?>
東京都福祉局の公式サイトによると、ヘルプマークを身につけた方を見かけた場合、以下のような対応が推奨されています(公式サイトの内容を要約)。
・電車やバスの中で席を譲る
立ったままの姿勢を長時間保つのが困難、至近距離で人に囲まれると極度のストレスを受けるといった特性の方がいるため、外見では健康に見えても席を譲るなど配慮しましょう。
・駅や商業施設などでの声かけ
人混みでパニックや過呼吸になってしまう、階段の昇降が困難など、少しでも困っている様子であれば「大丈夫ですか?」「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけてあげましょう。
・災害時の避難支援
健常者よりも災害の状況把握が困難な視覚障がい者や聴覚障がい者、また迅速に移動できない肢体不自由者に対して積極的な援助を行いましょう。
実際にヘルプマークを携行している私自身の経験でいえば、満員電車の中で席を譲っていただいたことがここ数ヶ月で2~3回ありました。
また、CDショップで店員さんから「何か困っていませんか?」と声をかけていただいたことや、コンサート会場で過呼吸になりかけた際に「後方に移動しますか?」とスタッフさんに言われ、席を替えてもらったことなどがあります。

<ヘルプマークの入手方法>
ヘルプマークは無料で配布されており、費用はかかりません。
ヘルプマークが生まれた東京都では当初、駅で配ることによって認知度の向上を図っていました。
現在でも東京都であれば都営地下鉄各駅・都営バス各営業所をはじめとする公共交通機関で配布しています。
また、東京都心身障害者福祉センターでも配布しているようです。
東京以外の都道府県に関しては、
・市役所や区役所の福祉課など
・保健福祉センター、保健所など
・各地域にある障害者相談センター、福祉支援センターなど
が主な配布場所となっております。
ただし、自治体によって配布場所はそれぞれ異なり、また「福祉○○センター」などの名称も細かい違いがありますので、ネットで調べるか、お住まいの自治体に問い合わせることをおすすめします。
<ヘルプマークの裏側に貼るシール>
ヘルプマークには「具体的にどのような支援が必要か」を裏側に記入するシールがついています。
書き方としては
「早口でまくしたてられるのが苦手なので、ゆっくりと分かりやすく話してください」
といったように、自身の特性と必要な配慮を合わせて書くのがよいでしょう。
たとえば上記の文章を役所の窓口やお店の案内カウンターなどで見せることによって、丁寧に対応してもらえる可能性が高まります。
また、これは最悪の場合ですが、突然倒れたりしたときに周囲の人が迅速に対応できるよう、かかりつけの病院名と連絡先を記入している人もいます。

ヘルプマークは元々日本独自のものでしたが、最近では「配慮の必要性を示すピクトグラム」として海外にも広まりつつあります。
ヘルプマークを知らない外国人観光客が電車の優先席を独占するといったような問題が最近増えており、ニュース番組などでも取り上げられていました。
ですがこれは決して観光客側だけに責任があるわけではなく、私たち日本人も積極的に「優先座席」や「ヘルプマーク」の存在を世界に発信する取り組みが求められます。
また、日本国内においても、実はまだ約2割の人が「ヘルプマークの意味を理解していない」とされています。
本当に支援を必要とする人に支援の手が行き届くためには、今後もヘルプマークの認知と理解を広げる啓発活動を続けていく必要があります。
※本文中のデータ・最新情報などは以下のサイトを参考にさせていただきました。
<東京都>
<LITALICO発達ナビ>
ヘルプマークとは?対象者や配布場所、受けられる配慮は?合わせて使いたいヘルプカードについても紹介!
<助け合いのしるし ヘルプマーク>
<note(北山碧人)>
<藤末健三公式ブログ>