同じものを2つ買ってしまう…ADHDの「予期せぬ無駄遣い」を防ぐ

TECTEC中田です!

発達障害、特にADHD(注意欠如/多動症)傾向が強い方は

「金銭管理が苦手」

というケースがあると言われています。

決して派手な遊びや高価な買い物をしているわけではなく、普通に暮らしているのになぜかすぐお金がなくなってしまう…。

もちろん、収入と支出をしっかりと把握していないためにお金が足りなくなることもあります。

ですが、もうひとつ大きな原因として存在するのが

「予期せぬ無駄遣い」

ではないでしょうか。

例を挙げると

・既に持っているのに、同じものをまた買ってしまった
・もう使っていないサブスクの解約をずっと忘れていた
・電気をつけっぱなしにして出かけてしまった

などです。

ADHDではない人でも「冷蔵庫に新品の牛乳があるのに、牛乳を買ってしまった…」といったことはよくありますが、ADHDの人はそのような失敗を頻繁に繰り返してしまうことがあります。

本人のなかでは当然「必要なもの」を購入したのに、実は不必要だったため「結果的に無駄遣いになってしまう」のはとても悔しいですよね。

今回はADHD当事者に多く見られる「予期せぬ無駄遣い」と、その背景にある特性、そしてそのような「効率の悪い支出」を防ぐための工夫やアイデアを紹介します。

<「わざとじゃないけど…」もったいない出費>

  1. 買ったことを忘れて、また買ってしまう

ADHDの特性のひとつに「ワーキングメモリ(作業記憶)の弱さ」があります。

「この間爪切りを買ったばかりなのに、また買ってしまった」
「シャンプーを切らしたと思って買い足したら、洗面台の下に新品があった」

というように、記憶の保持がうまくいかず、重複購入が起きやすくなります。

結果的に、必要のない支出が積み重なってしまうのです。

  1. ものをなくして、また買ってしまう

ADHDの人は「定期券をなくした」「鍵が見つからない」「USBメモリをどこかに置き忘れた」というように、持ち物の管理が苦手な傾向があります。

また「なくしたと思って買い直したが、後日見つかる」ということもしばしば。

これも、脳の特性として「身の回りのことに対する注意を保ち続けるのが難しい」ために起こる自然な現象です。

  1. どこが安いか比較せずに購入してしまう

計画的に買い物を進めるには「比較・検討・記録」といった段取りが必要ですが、ADHDではこのような手順を踏むこと自体がストレスになりやすいです。

成人のADHD診断ツールとして米国を中心に用いられている「ウェンダー・ユタ診断基準」および「ハロウェルの診断基準」によると、ADHDの人には「ストレスや欲求不満に対する耐性が弱い」という項目があります。

これがADHDの「思い立ったらすぐ行動してしまう」傾向と結びつくと、衝動性を抑えて計画的に行動することそのものがストレスを増幅させてしまうことに。

そのため「早く買って済ませたい」という気持ちから、値段をよく見ずに購入してしまうケースがあります。

  1. 不注意で壊してしまい、出費が増える

「ノートパソコンにうっかり飲み物をこぼして壊す」
「耐熱用じゃない食器を電子レンジに入れてしまい、変形して使い物にならなくなる」

など、注意散漫による「予期せぬ損失」も起こりやすい傾向です。

結果として修理代・買い替え費用がかかり、家計に影響を与えてしまうのです。

  1. サブスク・契約の管理が苦手

ADHDの人は「一度登録したものを後から整理する」ことが苦手な傾向があります。

そのため、使わなくなった動画配信サービスやオンラインサロンなどを「解約し忘れる」ケースが多く見られます。

気がつけば数年分の料金を払い続けていた…ということも。

  1. 支払い忘れ・延滞金

光熱費や携帯料金などの支払いを忘れてしまい、延滞金が発生することも珍しくありません。

「後でやろう」と思っても、その“後で”をすっかり忘れてしまうのです。

これもADHDの脳の構造が「優先順位をつける」「手順を組み立てる」タスクを苦手としているからです。

  1. 助成金などをもらいそこねる・無料券やサービス券を使い忘れる

無駄遣いとは少し種類が異なりますが「受け取れるはずのお金や、利用できるはずのサービス」を、締め切りが過ぎてから思い出してしまうというケースも少なくありません。

「自治体から3万円もらえるらしいけど、また来週にでも申請しよう」
「コンビニの半額券をもらったから、期限までに使おう」

と思いながら、そのまま忘れてしまう…これも日常生活において、ADHDの人が経験しやすい「痛い損失」のひとつです。

<「予期せぬ無駄遣い」を防ぐための具体的な工夫>

◆スマホのリマインダー・アラームを最大限に活用する

ADHDの人にとって、頭の中で「覚えておく」ことはとても難しい課題です。
そのため「外に記録を出す(外部化する)」のが効果的です。

◎買い物予定・支払い期限・解約日などをスマホのカレンダーに入力
◎リマインダーやアラーム機能で「前日」「当日」など複数回通知を設定

などの工夫を実践することで「うっかり忘れていた」を減らせます。

◆「使う場所ごと」に同じものを置く

なくしやすいもの(文房具・充電ケーブル・衛生用品など)は「部屋にひとつだけ」ではなく「使う場所ごとに1つずつ置く」などの方法で探す手間を減らすことが可能です。

数百円程度の商品であれば、むしろ最初に2~3個ほど購入して意図的に複数配置したほうが結果的に「家に同じものが10個ある…」という事態に陥らなくて済みます。

◆買い物リストを常にスマホで管理

買い物に出る前に、スマホのメモアプリや「買い物リストアプリ」に必要なものを入力し、購入したらチェックをつけましょう。

いざお店に入ってから「この商品、前に買ったかな…」と迷ったら、過去の買い物リストを見ればすぐに確認できます。

これだけでも「同じものを買ってしまう」失敗が激減します。

紙のメモよりも、スマホアプリのほうがいつでも見返せて便利です。

◆お金の流れを“自動化”する

支払い・貯金・積立などは「手動でやる」よりも「自動引き落とし」「自動送金」に設定するのがおすすめです。

また、最近は銀行やカードの情報を自動で取り込んでくれる家計簿アプリもあります。

自分で入力しなくてもお金の動きが可視化されるので、気づかない無駄を発見しやすくなります。

◎家賃や光熱費は口座振替に
◎クレジットカード明細を月1回、自動表示する設定に(サブスクの解約忘れチェック)
◎給与から一定額を自動で貯金用口座に移す

手動でやっていた工程を自動のルーティンにすることで、注意の抜けを未然に防げます。

◆「期限があるもの」は1か所にまとめる

クーポン・無料券・補助金(助成金)の申請書類などは、家の中で「期限があるものボックス」を作って一括管理しましょう。

1週間に1度チェックする習慣をつけると、「気づいたら期限切れ」が減ります。

ADHDの人が無駄遣いをしてしまうのは、脳の特性によって「記憶」「注意」「計画」の一部の機能が働きにくいために起こる現象です。

周囲の人も「どうすれば失敗しにくい仕組みをつくれるか」を一緒に考えることが重要です。

支援者や家族が「忘れてしまうことは仕方ない」「だったら忘れないような工夫をしよう」と前向きにとらえることで、本人の安心感や自己肯定感にもつながります。

※本文中のデータ・最新情報などは以下のサイトを参考にさせていただきました。

<ADHD生活のコツ(note)>

「また同じもの買っちゃった…」を防ぐ!ADHD向け買い物のコツ

<チャレンジド・ノート>

サブスクの解約忘れをなくすには?ADHDの私が実践している対策2選を紹介

<OTONA SALONE(オトナサローネ)>

電気代の支払いを忘れて止められた!【ADHD女子14】

<こどもプラス>

発達障害・ADHDの人がストレスに弱い原因と4つの対策

<かもみーる>

突発的な行動をする理由は?ADHDの多動性・衝動性の症状についても解説

<NeuroDive>

ADHDのある人がストレス耐性を強くするには。ストレスの仕組みと対処方法を解説