TECTEC中田です!
障害者雇用の求人票を見ていると、主な業務内容のひとつに
「電話応対」
が含まれていることがあります。
もちろん職種によるのですが、特に一般事務などのデスクワークでは「伝票整理」や「ファイリング」といった作業と並んで「電話応対」を求められることが少なくありません。
就労を目指す方のなかには
「電話が鳴るだけで心臓がドキッとする」
「頭が真っ白になって言葉が出ない」
「内容を覚えられずパニックになる」
という人も多く、企業側でも「電話応対が苦手な場合は配慮します」と応募段階で伝えるケースが増えてきました。
電話応対ができないことで悩む必要は決してありません。
ですがもし「苦手な電話応対を克服したい!」と考えているのであれば、適切な工夫とトレーニングを積むことにより「苦手だけどある程度対応できる」レベルまで成長できるといわれています。

【なぜ発達障害の人は電話応対が苦手なのか?】
1.電話をする経験が少なくなった
これは障害の有無に関わらず現代人全般に言えることですが、メールやSNS、チャットツールの発達により文字でのコミュニケーションが主流となったため、電話での会話経験が年々減少しつつあります。
一方で、会社に就職すると目上の方から「正しい電話マナー」を求められることがあり、そのプレッシャーで余計に苦手意識を持ってしまいがちです。
これは「電話自体が嫌い」「人と接するのが怖い」というより、電話特有の言葉遣いに慣れていないのが原因といえますので、電話応対の「経験値」を地道に積み重ねることも必要でしょう。
2.マルチタスクが求められる
電話応対は一般的に以下のような複数タスクが同時進行します。
・電話の内容を理解する
・メモをとる
・電話の相手に言葉を返す
・社内の情報と照合する
・必要があれば担当者へ取り次ぐ
ASD・ADHDの特性によっては、この「並列作業」が大きなストレスになります。
「メモをとっている間、相手が喋っている内容を聞き逃した」「電話の内容に集中しすぎて、次の段取りを忘れてしまう」などは典型的な「発達障害当事者あるある」ではないでしょうか。
3.とっさに言葉が出てこない
マルチタスクと同様に「相手の話を聞いて理解しながら、次に言うべき言葉を用意しておく」のが苦手な人は多いはず。
たとえば「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」という言い方を知っていても、瞬時にその表現を取り出せないことがあります。
そのため
「えっと…お名前…聞いていいですか?」
と、思わずぶっきらぼうな言い方になってしまうのです。
能力の問題ではなく、処理速度や言語の引き出しの問題ですので、こちらもまた「経験」「場数」の積み重ねで改善できる場合があります。
4.「予測できない展開」が不安を強める
電話では「何を聞かれるか分からない」ため、先の見通しを立てにくく、“突発的な質問への不安”が強くなります。
「マニュアルにあれば答えられるけど、ないことを聞かれたら混乱する」という経験をお持ちの方は非常に多いです。
筆者である私も広汎性発達障害の診断を受けていますが、電話で私が何かを説明しているとき、途中で遮られて急に違う話をされるのが非常に苦手なので、個人的にはこの「4.」が最も当てはまります…。
5.(番外編)電話機の操作方法が分からない
固定電話のある家庭が激減しており、そもそも「電話機の使い方を知らない」という人が珍しくありません。
ただでさえ操作方法に慣れていないのに、ある程度従業員数の多い企業では「内線付き電話機」を操作する必要があるため、さらに難しく感じてしまいます。

【電話応対を克服するための具体策】
1.まずは「正解を狭める」仕組みづくり
発達障害のある人にとって、電話応対の負荷は「情報量の多さ」と「曖昧さ」です。
そこで最初にやるべきは「選択肢を狭めること」。
たとえば
・想定される問い合わせの種類をリスト化する
・それぞれに定型文(スクリプト)を用意する
・メモ欄も定型フォーマットにする
これだけで、電話の負荷は大幅に下がります。
2.スクリプト(定型文)を“そのまま読む”でOK
電話応対は「自然で丁寧な話し方」が求められると思われがちですが、実はスクリプトを読むだけで十分丁寧に聞こえます。
例A:「お電話ありがとうございます。TECTECスクール天王寺校でございます」
例B:「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
いくつかの表現を覚えるのではなく「この場面ではこれを言う」 と固定しておくほうが安心です。
3.とっさに言葉が出ない人向けの工夫
「言葉を出す」という行為は、スポーツの動作と同じく、反復が必要です。
<“声に出す練習”を日常的に>
黙読ではなく、音として出すことが重要です。
「実際に発声することで、必要なときに言葉が出やすくなる」といわれています。
<よく使うフレーズだけ、単語帳のようなものに書いて練習する>
「担当者に確認いたしますので、少々お待ちください」
「折り返しご連絡いたします」
これらのフレーズを10個程度に絞って練習するだけでも、大きな変化が生まれます。
4.メモのとり方を工夫する
ADHDやASD特性のある人は、メモのとり方を間違えてしまい、電話の内容が整理できず混乱が増えることがあります。
おすすめは以下の方法です。
<「枠ありフォーマット」用紙を準備>
・相手の名前
・要件
・日時
・折り返しの必要有無
・相手の電話番号
・担当者
これらの項目があらかじめ枠で印刷されたメモ(自作でもOK)を使うと、どこに何を書くか迷わずに済むため、ストレスが減ります。
5.「マニュアルにないことを聞かれたとき」の対処法
ここが最大の課題だと思います。
しかし、実は電話応対のプロでもすべての質問に即答できるわけではありません。
大切なのは「答えられない時の正しい言い方」を持っておくことです。
<「確認フレーズ」を活用しよう!>
「確認してまいりますので、少々お待ちいただけますか」
「正確にご案内するため、担当者に確認してよろしいでしょうか」
「念のため確認して折り返しご連絡いたします」
などの「確認フレーズ」的な定型文を覚えておくだけで、“想定外の質問”のほぼすべてを乗り切れます。
<「わからない」と言ってもよい>
誤情報を伝えるのが最も危険です。
電話応対は「正確さ>スピード」が基本ルール。
自信がない場合は
「恐れ入ります、私の判断でご案内できない内容ですので、確認いたします」
と対応すればOKです。
これは失礼には当たりませんし、むしろ丁寧だと評価されます。

以上、発達障害の人が電話応対を苦手とする理由、およびその克服方法を紹介いたしました。
TECTECでは学習や就労を経て、一般企業への就職を目指す方への各種サポートを行っています。
「電話応対が苦手だから、働けるかどうか不安…」という相談にも丁寧にアドバイスいたしますので、ご安心ください!
※本文中のデータ・最新情報などは以下のサイトを参考にさせていただきました。
<一般社団法人福祉.tv>
発達障害者に電話応対や接客は不向き?慣れる方法、上手くやるコツ
<d-career>
「電話応対が苦手」大人の発達障害によるもの?|電話対応の苦手さの原因と対処法
<就労継続ナビ>
【大人の発達障害】ADHDは仕事上の電話が苦手で怖い?3つの対策を紹介
<リライトキャンパス>