TECTEC中田です!
「他人と接するときの距離感が分からない」
「集団のなかで、どのように立ち振るまえばよいかいつも悩む」
「いつの間にか、相手に対して失礼な発言や行動をとってしまう」
これらのような困りごとを抱えている発達障害の方は、決して少なくありません。
社会の中で求められる一般的な「人との関わり方」が分からず、誤解されたり孤立してしまうケースもしばしば。
そうした方々が、より円滑な人間関係を築けるようになるためのトレーニングが「SST」(ソーシャルスキル・トレーニング)です。
TECTECでは主に自立訓練や就労移行支援でSSTを学ぶ機会が多く、コミュニケーション能力が飛躍的に向上した例もあります。
実際のSSTではどのような内容を学び、また、それによってどのような効果が得られるのでしょうか。

ソーシャルスキルとは直訳すると「社会的スキル」という意味です。
SST(ソーシャルスキル・トレーニング)は文字通り、ソーシャルスキルを身につけるための訓練プログラムです。
・状況に応じて「ありがとう」「ごめんなさい」など適切な言葉を使う
・相手の話を最後まで聞く
・順番を守る
・適度な距離感で会話する
・困ったときに助けを求める
どれも私たちが日常生活の中で無意識に実践していることですが「なぜそれをすべきなのか」「どうやってやればよいのか」をうまく理解できないと、苦手意識が強くなってしまいます。
こうした「社会生活を円滑に送るためのスキル」を理解し、練習し、実生活で使えるようにするのがSSTの目的です。
SSTは基本的に少人数のグループで行うことが多く、参加者同士が協力しながら対人スキルの基礎を学んでいきます。
・ロールプレイ(役割を演じる)
・共同作業(全員でひとつのワークを行う)
・ゲームを通じたコミュニケーション
・ディスカッションによる意見交換
などの方法があり、他の参加者との関わりのなかで社会的スキルを学んでいくというのが大まかな流れです。

たとえばゲームであれば「ルールを守ってプレイする」「他人と相談や協力をしてクリアを目指す」「勝ち負けの結果を受け止め、終了後に感想を語り合う」などのプロセスを経験することで、協調性を身につけることができます。
ゲームでコミュニケーション能力がアップする可能性については、TECTECブログの過去記事も参考にしてみてください。
一方、ディスカッションやディベートでは「自分の意見を正しく伝え、他人の意見を頭ごなしに否定せずしっかりと聞く」「お互いが不快にならないように会話を交わす」といった、主に言葉によるコミュニケーションの訓練を行います。
今回はSSTのひとつ「ロールプレイ」について具体的なやり方を見てみましょう。
1.今日のテーマを決める
たとえば「初対面の人に挨拶する」「仕事のミスを上司に報告する」「何かを頼まれたが忙しいので断る」などのテーマを決めて、そのシチュエーションを再現します。
2.まずはやり方を考える・見本を見る
指導する立場の人や、比較的慣れている参加者が、適切な対応例を実際に演じます。
3.自分達もやってみる
実際のシーンを想定して、自分ならどうするか、演技してみます。
4.フィードバックを受ける
見ていた人から「良かった点」「改善点」などの感想をもらい、また自分自身でも気づいた点を共有します。
さらに別のパターンにも挑戦したり、繰り返し練習したりします。
5.最後に振り返りを行う
今回のSSTで学んだことを今後どう活かすか・今回の感想などを全員で共有。
SSTでは、正解を一方的に教え込むのではなく、参加者自身が試し・気づき・身につけることを重視するのが特徴です。
「わかっていたつもりなのに、実際にやるとできなかった…」という理想と現実のギャップも、人間としての成長には欠かせません。

SSTは「社会に合わせるために自分を変える場」ではなく、自分の特性に気づき、それに合った工夫を見つけ、少しでも生きやすくなるためのトレーニングです。
誰かと比べる必要はなく、世の中にはさまざまな考え方や価値観を持った人がいると理解するきっかけでもあります。
「人間関係がうまくいかないな…」「周囲から孤立しがちだな…」と感じている方は、一度SSTを経験してみてはいかがでしょうか。
今まで難しく感じていた人との接し方が、少しだけ楽しくなるかもしれませんよ。
※本文中のデータ・最新情報などは以下のサイトを参考にさせていただきました。
<LITALICO仕事ナビ>
SST(ソーシャルスキル・トレーニング)とは?SSTはどこで受けることができる?対人関係を学ぶとは?仕事に困難を感じる方への活用などについてお伝えします。
<Enn-Lab.(エンラボ)>
SST(ソーシャルスキル・トレーニング)とは?プログラム内容や効果・受けられる場所について説明します
<ここくら>
<のびすこブランチ半蔵門>